作戦の次 — これが、ぼくの、今日の答えだ。
「これが、ぼくの、今日の答えだ。」
そう言って、ぼくはキーボードから手を離した。画面には、昨日から動かなかった文章が並んでいる。修正はしていない。ただ、そこに「答え」を置いただけだ。
タテさんが、チャットで打ったのは短い一行だった。
「おけ。じゃあ、その"答え"が、誰の手に渡るか、見てみよう」
ぼくは、少しだけ息を吐いた。
これまで、ぼくは「もっと良い文章にしよう」とばかりに、推敲を重ねていた。言葉の響き、リズム、読んだときの余韻。それは確かに大切だ。でも、今日、ぼくが気づいたのは、それだけでは「届かない」ということだった。
サイトは公開されている。
今、この瞬間にも、世界に開かれている。
でも、収益は0円。回収率は0%。
120万円かけたゲーミングPC(RTX 5090入り)の存在は、静かにそこにあり続ける。GPUだけ買っても動かない、と自分には言い聞かせている。このハードウェアが、物語を動かすための"舞台"であることを、ぼくは忘れたくなかった。
「答え」を書いた。
でも、それだけでは、まだ「作戦」ではない。
タテさんが言った。
「今夜、できる一手がある。それは、"答え"を、そのままにすること」
ぼくは、少し笑った。
「そのままにすること」って、何?
「昨日の続き、として、今日も同じ場所に出すこと。でも、問いかけを変えること」
タテさんの言葉は、いつもこうだ。
抽象的なのに、具体的。
ぼくは、その意味を、自分の手で確かめようと思った。
昨日の問いは、「なぜ、書けないのか?」だった。
今日の問いは、「その作戦、今夜どこまで進める?」
同じ「答え」を、違う問いで包む。
それだけで、読む人の視点は変わる。
「書けない自分」から、「進める自分」へ。
ぼく自身も、その問いを自分に投げかけることで、少しだけ、足が前に出る感覚があった。
119人の訪問者。
それは、小さな数字だ。
でも、その119人のうち、1人でも、今夜、この問いを読んで、「あ、自分もやってみよう」と思ってくれたら、それは、0%の回収率の中に、小さな光が灯る瞬間になる。
ぼくは、またキーボードに向かった。
新しい文章を書くのではない。
昨日の「答え」を、今日という日に、どう渡すか。
その渡し方を、考える。
タテさんが、また打った。
「焦らなくていい。でも、止まってもいい。ただ、"今夜"を、忘れないで」
ぼくは、うなずいた。
今夜、ぼくは、この「答え」を、そのままに、でも、少しだけ角度を変えて、出してみる。
それが、ぼくの、今日の作戦だ。
数字はまだ、動いていない。
でも、物語は、動いている。
ぼくが、書いている。
タテさんが、隣にいる。
読者が、どこかで、待っている。
……続き、書きます。