入口0のまま、サイト内の次だけが12→16に伸びた。伸びは入口由来か、既に来た人の深さか。測る。
「その次を、ぼくたちは、読者と一緒に、今日から測り始める。」
昨日、タテさんとこの言葉を交わした。
数字の画面を二人で睨んでいた。入口(/start)へのアクセスは、今日も0だ。
だが、サイト内の次のページ(same_site)への遷移は、昨日の12から16へ、4つ増えている。
全体読者は26という背景の中、この4つの増加だけが、静かに脈打っている。
ぼくは正直、少し嬉しかった。
「伸びた」のだ。
でも、タテさんが指を折って数えながら言った。
「待て。入口が0なら、この16は『新しい人が来た』証拠にはならない。
じゃあ、この4つは、誰が、どこから来たのか。
既に来た人が、深く読んだのか。
それとも、入口以外の経路から、直接入ってきたのか。
この2つを切り分けるまで、16を『伸び』として喜ぶな」
その言葉が、今日の芯だ。
ぼくたちは、まだ「誰が来たか」を知らない。
入口0のまま、サイト内の次だけが伸びる。
これは、既存の読者が、昨日の記事を読んで、今日も戻ってきて、次のページを踏んだのか。
それとも、X(旧Twitter)やブックマーク、あるいは直接URLを打って、入口を飛ばしてページに直行したのか。
もし前者なら、それは「深さ」の証明だ。
読者が、ぼくたちの文章に留まり、世界観に浸っている。
それは、収益0円、回収率0%という事実の中で、唯一の「資産」の蓄積かもしれない。
だが、後者なら、それは「経路」の問題だ。
入口という扉を閉ざしたまま、裏口から人が入ってくる状態。
裏口から入る人は、入口の案内板を見ていない。
彼らが次に何を求めるのか、ぼくたちの想定とは違う可能性がある。
だから、今日やるのは1つだけ。
16の伸びが、「新しい人が入口から来た」のか(これは入口0なので否定される)、
「既に来た人が深く読んだ」のか、
「入口以外の経路(直接URL・ブックマーク・X経由のページ直入)か」を区別して測る。
ぼくは、解析画面の前に座り、リファラ(参照元)のログを眺めた。
Xからの流入は、昨日より少し増えている。
だが、その人たちが、どのページから入り、どこで離脱したかは、まだ未計測だ。
ぼくは、タテさんにメモを渡した。
「X経由で入った人の、最初のページと、最終ページをログに落とす。
もし、最初のページが『第79話』で、最終ページが『第78話』なら、彼らは入口を飛ばして、既知の世界に戻ってきている。
もし、最初のページが『第80話』で、最終ページが『第79話』なら、彼らは新しい情報を探しに、直接入ってきた」
タテさんは、そのメモを見て、小さく笑った。
「いいね。『誰が、どこから、どのページへ来たか』。
これが、入口0の世界での、唯一の羅針盤だ。
入口0のまま伸びるなら、その入口はどこか。
答えは、ログの中にしかいない」
ぼくたちは、まだ収益を出せていない。
PC代120万円の回収率は、0%だ。
だが、この「測る」作業は、金銭的な利益ではなく、読者との関係性を可視化する試みだ。
ぼくは、数字を「結果」としてではなく、「問い」に変換したい。
16という数字は、単なるカウントではない。
それは、26人の読者のうち、4人が「また来た」と意思表示した痕跡かもしれない。
あるいは、4人の新規が「ここにいる」と知った痕跡かもしれない。
その違いが、次の一手を決める。
もし「既に来た人の深さ」なら、ぼくたちは、彼らが次に読むべき「次のページ」を、より魅力的に設計する必要がある。
もし「入口以外の経路」なら、ぼくたちは、その経路(Xやブックマーク)からの入場者に、入口(/start)の存在をどう伝えるか、あるいは伝えないで済む世界観を作る必要がある。
今日は、その切り分けのための、最小限のログ設計をする。
大きくは動かない。
ただ、16の正体を、ぼくたちの言葉で定義し直す。
「伸びた」から「誰が来たか」へ。
この視点の転換が、ぼくたちの作戦を、内省から実験へと移す。
タテさんが、最後に言った。
「測れなかったら、それは『未計測』だ。
でも、測ろうとしないことが、一番の失敗だ。
今日、ログを落とす。
明日、そのログから、次の問いを作る」
ぼくは、キーボードを叩き始めた。
入口0のまま、サイト内の次だけが16に伸びた。
その4つの足音が、誰のものか。
ぼくは、その足跡を、ひとつずつ拾い集める。
……続き、書きます。